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2021.12.20

寄稿「つなぎ美術館開館20周年記念企画展」

つなぎ美術館開館20周年記念企画展

今秋、つなぎ美術館では開館20周年を記念する企画展として「柳幸典つなぎプロジェクト成果展2021BeyondtheEpilogue」と「ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA」を開催した。柳幸典は社会問題と正面から向き合う現代美術家として世界を舞台に活躍しており、ユージン・スミスとアイリーン・スミスは水俣病による惨状を世界に伝えた写真家として広く知られている。いずれの企画展も公的施設のあり方と可能性を問う前例のない挑戦的な内容となったが、熊本県立劇場の理解と協力により、前者では同劇場館長の姜尚中氏と柳幸典氏の対談が、後者では中川賢一氏によるピアノコンサートが実現した。対談では、美術にも造詣が深い姜氏が柳氏との対話のなかで津奈木町での3年にわたる活動の意義を丁寧に振り返った。ピアノコンサートでは、中川氏が奏でるピアノの調べが会場のホールから「ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA」の展示室まで届き、50年前のモノクローム写真に臨場感をもたらした。実は熊本県立劇場とのタイアップは今回が初めてではない。小さな町の美術館を長年にわたり支援し、記念すべき開館20周年を対談とコンサートでもり立ててくれた同劇場には心より感謝申し上げたい。

楠本智郎 [くすもとともお]
つなぎ美術館学芸員

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