2020.12.20
まなびの風景「菊池市立菊池北小学校~総合的な学習 狂言~」
南北朝時代から菊池市に伝わる伝承芸能
菊池市の「菊池の松囃子(まつばやし)」は、国指定の無形民俗文化財に指定されている伝承芸能です。能・狂言系統の松囃子が伝承されており、宝暦7年(1757年)の「菊池松囃子起源書」によると、菊池一族第15代当主武光の時に、征西将軍として都から菊池へ入った懐良親王のために松囃子が舞われたのがはじまりとされ、その説によれば南北朝時代から伝わる伝承芸能となります。現在でも年に一度、菊地神社の秋の大祭初日である10月13日に、菊池高校前にある将軍木と呼ばれるムクの大木に向き合うような形で建てられている能舞台で、菊池の松囃子は奉納されています。
能・狂言の系統を汲む菊池の松囃子が伝承される菊池には、江戸時代から和泉流の狂言を演じる人たちがおり、現在では菊池の松囃子の保存会の狂言方が「狂言みのる会」として、独立した活動を行っています。名古屋の和泉流狂言師、野村又三郎氏から指導を受け、週に2回の稽古を行い、県民文化祭や薪能などに数多く参加しています。
地元に伝わる芸能に6年生全員参加で挑む発表会
菊池市の歴史と文化の中心地にある菊池北小学校は、平成5年(1993年)に開校。この小学校では、伝承文化に対する意識を育む教育の一環として、6年生の総合的な学習の時間に「狂言みのる会」から狂言の指導を受けています。12月に全校生徒の前で行われる発表会に向けて、10月から練習がはじまります。この狂言の発表会は、20年以上も続いており、1年生の時から上級生の発表を見て育つ子どもたちは、菊池市に古くから伝わる伝承芸能について学びます。
(昨年の発表会の模様。今年はコロナの影響で参加人数を制限して開催予定)
授業では、狂言と小舞のグループにわかれ、「狂言みのる会」の代表である田嶌晴雄さんの指導のもと練習が行われます。狂言のひとつの演目を、場面ごとに生徒が交代して演じることで、全員参加で発表会に挑みます。取材に訪れたのは、ちょうど5回目の練習の日。参加していた子どもたちに話を聞いてみると「セリフの表現がとても難しい」(古閑さん)、「狂言は動きが激しくておもしろい」(前田くん)、「言葉のイントネーションと動きが普通じゃなくて興味深い」(池邉さん)、「中学になっても違う物語をやってみたい」(森上さん)とさまざまな思いが返ってきました。
(左から6年生の森上幸さん、池邉千有咲さん、古閑統子さん、前田泰輝くん)