2021.06.20
自主事業ハイライト「中川ハカセのピアノ&ホール解体新書」
ホールに響き渡る、ピアノとチェンバロの音色
熊本県立劇場には、20世紀につくられたノイペルトのバッハ・モデルのチェンバロがあります。モダンチェンバロといわれるこの楽器は、古楽復興のために研究された中でできたもので、 2段鍵盤、5つのペダル、1 つのリュートストップで音色を変えることができます。県立劇場が保有しているチェンバロは全国的にも珍しく、演奏することが可能な状態で整備されています。演奏される機会が少ないこの貴重な楽器を、より多くの方に知っていただき、劇場の良さを伝えたいと、ピアニストの中川賢一氏に依頼し、「ピアノ&ホール解体新書」のワークショップを企画しました。中川氏はワークショップやアウトリーチなどの活動に積極的に取り組むアーティストで、これまで県劇でも3 回、ピアノ解体新書を開催した実績があります。4月24日土曜、コンサートホールで開催される予定の「ピアノ&ホール解体新書」でしたが、新型コロナウイルス感染症に対する県のリスクレベルが5(厳戒警報)に引き上げられたため急遽中止となりました。公演中止の発表のタイミングは、中川氏が熊本入りし、県劇でのリハーサルを行う予定の日。公演直前での中止となった本企画をなんらかの形で残したいとの想いから、チェンバロとベーゼンドルファーについての動画を撮影することになりました。
(屋根を上げた状態のピアノ。通常のワークショップでは実際にパーツを取り外し解体をする。)
今回の撮影中には、県劇のコンサートホールの音の響きをスタッフで体感する一幕も。ステージ上で聴く音、観客席の最前列の真ん中、左右の出入り口付近、壁際、2階の最前列と移動しながら、中川氏が奏でるピアノ曲(同じ条件で同じ曲)を聴きくらべてみました。「ステージ上と最前列の席は距離的に近いが、ステージを降りるだけで音が響いているのがわかる」「出入り口付近は余韻がすっきりしている」などの感想が飛び交いました。中川氏は「今回のワークショップは残念ながらキャンセルになりましたが、県劇のホールの音の良さを再認識する良い機会になりました。ピアノを弾いていて、良いホールだなぁ、とこんな機会じゃないと感じられない、財産となりました」とコメント。撮影した動画は、熊本県立劇場のYouTubeチャンネルで公開しています。
(動画撮影の合間にも、県劇スタッフに向けたピアノの歴史や仕組み講座。終始和やかな雰囲気で撮影が行われた。)
中川 賢一[なかがわ けんいち]
ベルギーアントワープ音楽院ピアノ科首席修了。ソロ・室内楽、指揮で活躍する他、国内外のさまざまな音楽祭に出演。ワークショップやアウトリーチ、他分野とのコラボレーションを活発に行っている。(一財)地域創造公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト。
◎「ケンゲキアートチャンネル」で公開中!
今回ご紹介した「中川ハカセのピアノ&ホール解体新書」の動画は、「ケンゲキアートチャンネル」で公開中です。ワークショップに参加予定だった方も、ピアノのことをもっと知りたい方も、県劇のホールに興味をもった方も、ぜひご覧ください。
熊本県立劇場公式YouTubeチャンネル「ケンゲキアートチャンネル」
www.youtube.com/user/kengekiweb
◎公演案内
ピアニスト、中川賢一氏の演奏会のお知らせです。葦北郡津奈木町にある「つなぎ美術館」との特別連携企画。コンサートホールでは体験できない、いつもとは一味違うピアノの演奏会をお届けします。詳しくは、県立劇場のホームページでご確認ください。
Art×Music 中川賢一×つなぎ美術館
日時 2021年11月14日(日)時間未定
会場 つなぎ美術館多目的ホール
入場料 無料