2019.12.20
県劇スタッフリレーコラム №3
「ぽけっとツアー」
県劇には催事がない日も時折、団体のお客様が来館されます。そのほとんどは小学生です。学校の授業の一環として、学年やクラス単位で施設を見学します。
見学コースはお客様の要望に応じて構成するため、ドラえもんのポケットのように「期待が詰まった」見学ツアーにしたいという思いから、私達職員はその見学を「ぽけっとツアー」と呼んでいます。子ども達が県劇に興味を持ってくれるように、わかりやすい説明を心掛けながらホールやバックヤードを案内します。
催事がないので、子ども達は各階の席に座って舞台の見え方を比べたり、舞台上で本番同様の照明を浴びて客席を見渡す…など、通常ではできない体験をします。特に、クラシック音楽専用ホールである「コンサートホール」は、音が美しく響きあう造りになっています。子ども達は「歌う班」と「聴く班」に分かれ、交互に舞台上で歌い、その歌声の響きを聴くという体験も行います。
施設見学のあとは子ども達から質問の時間です。ほぼ毎回、時間ギリギリまで多彩な質問が飛び交います。「どんなコンサートが1番人気ですか?」「コンサートを開くにはどれくらいの時間とお金がかかりますか?」「県劇ができてから今日までのお客さん(来場者)は全部で何人ですか?」など、時には職員が答え方を考えてしまう質問もありますが、好奇心で生き生きしている子ども達の表情を見ると、とても嬉しい気持ちになります。
先日見学に来た小学2年生の男の子は、今まで一度も県劇に来たことがなかったそうですが、響きの体験が終わったあとに「楽器の音はどんなふうに響いて聴こえるのかなぁ。今度、お父さんとコンサートに来るね」と言ってくれました。テレビなどを通さない生の舞台芸術からは、その時、その場所でしか味わえない雰囲気や迫力を、心と体で感じることができます。子ども達が感動に出会うきっかけ作りができれば、職員冥利に尽きると思っています。
施設サービスグループ 岡 加容子[よしおか かよこ]