2019.12.20
まなびの風景「熊本市立一新小学校伝統芸能クラブ」
熊本城築城とともに誕生したと言い伝えられる新町獅子
毎年藤崎八旛宮秋季例大祭に奉納されている新町の獅子舞。新町獅子に関する古い資料は細川家の資料で、寛政5年(1793年)にその記述が見つかっています。誕生についての資料はまだ見つかっておらず、一説によると、新町獅子は熊本城の築城時に誕生したとも伝えられています。藤崎八旛宮は、かつて熊本城の西隣にあたる藤崎台にあり、新町はその鳥居元として獅子舞を奉納してきたようです。
新町獅子の舞には、例大祭の初日のみに舞われる「天拝(てんぱい)」と、歌舞伎の影響を受けている「牡丹の舞」の2種類あります。誕生から幾度となく中断復活が繰り返され、戦後の混乱期を経て衰退していた新町獅子が、今日のように例大祭奉納だけでなく、各地へのイベントにおいても舞が披露されるようになったのは、昭和41年(1966年)の「熊本新町獅子保存会」発足がきっかけでした。平成3年(1991年)には、小中学生による「子獅子」が結成され、それ以降益々盛り上がりを見せています。
地元の伝統芸能を、楽しく伝承している子どもたち
熊本市立一新小学校では、クラブ活動「伝統芸能クラブ」で、地元の伝統である新町獅子を練習しています。
舞手(まいて)と笛手(ふえて)にわかれ、それぞれの指導は保存会のメンバーが担当。練習した成果は、運動会の時に披露されます。4年生から3年間、舞手として練習を重ねてきた6年生の長峰綸之介くんと福田のどかさんは、小さい頃に新町獅子を見てきて「かっこいい」と思ったことがはじめるきっかけだったとか。2人とも今年の運動会で赤獅子、黄獅子となり、舞を披露した経験から「これからもずっと続けていきたい」と意欲を見せてくれました。本番で使われる獅子頭は、子ども用に小さくつくられているとはいえ、かなりの重量。それを手に舞う難しさはあるものの「気分があがる」体験だったようです。
ちなみにこの獅子頭は、地元に工房を構える郷土玩具「おばけの金太」の作者、厚賀新八郎氏の手によるもの。一新小学校では、3年生の総合的な学習の時間に厚賀氏の指導でミニ獅子を制作する授業も設けられています。
(舞手を担当している6年生の長峰綸之介くんと福田のどかさん。今年の運動会では、舞手として活躍していた)