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2023.09.20

県劇スタッフリレーコラム№18

ミュージカル

中学3年の時、初めてミュージカルを観た。あの時の雷に打たれた様な衝撃は今でも忘れない。こんな楽しい世界があるのか!それ以来、私はミュージカルの虜である。ミュージカル好きが高じて音楽の道を目指し、その後舞台の裏方の仕事に就く事になる。ミュージカルの大きな魅力は、現実を離れ非日常を味わえること。ストーリーと共に、そこに乗せられた歌や音楽が聴覚と心を同時に揺さぶり、心が震え、そしてそれが大きな感動となる。ミュージカル以外にもオペラ、バレエ、歌舞伎など様々な芸術があるが、どの舞台にも欠かせないのが舞台セットだったり、照明、音響の効果だ。私はその中でも照明の仕事に携わってきたが、舞台の世界観を出すのに照明はとても大きな役割を持つ。例えば、朝の風景、夕方から夜になる変化、暑い夏のジリジリした空気感や、楽しい気持ち、怒り、悲しみを表現したり、また照らす(光を当てる)だけでなく、〝見せたくない〟エリアをつくる事によって、より立体的に舞台を〝魅せる〟こともできる。逆に全体明かりの中で、より〝見せたいもの〟によく使われるのがピンスポットと呼ばれるものだ。人力で操作するのだが、見せたい人物の演技や動きをピックアップする事で観客の視線を集中させる役割がある。芝居や音楽に合わせた明かりの点け方&消し方がポイントで、それ次第で全く印象が変わるから面白い。『舞台はナマモノ』というが、役者の演技や動きも毎日違っていれば、肌の色味で見え方も全然違う。操作はとても難しいが、全てにおいて一体感が生まれた時は最高に気持ちが良い。
コロナ禍で公演中止を余儀なくされ、オンライン配信もかなり普及した。お家で舞台が観れるのは魅力的だが、機会があれば是非劇場へ通って、数々の感動を肌で感じとってはいかかでしょうか?

舞台技術グループ
金子 千佳子[かねこ ちかこ]

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