2023.03.15
県劇スタッフリレーコラム№16
四〇TH
熊本県立劇場は、1982年に当時の公共施設としては珍しく音楽と演劇の2つの専用ホールを持つ劇場として誕生した。
2022年12月、県劇は40周年を迎えた。その少しだけ早く生まれた私は、県劇とは同級生である。実は、縁あって勤めることになる6年前まで、この同級生との出会いは数回しかなかった。
私の所属は総務グループ。基本的にはパソコンに向かい、事務所の中で日々業務にあたっている。そんな中、普段の業務とは全く異なる動画制作の企画に深く携わることになった。
劇場では開館40年の節目に記念事業を行い、様々な企画を実施してきた。そのひとつである「動く劇場~5Stories~」というものである。
県内の文化遺産5つを舞台に、県にゆかりのあるアーティストとクリエイターの5つのチームが各々の舞台で動画を制作する。コンセプトは「メイド・イン・熊本」。
制作チームの一員となり、これまではほとんど関わることのなかったアーティストやクリエイターと接し、彼らのパフォーマンスや制作に対する姿勢や意識に触れたこと、各々の作品が生まれる場に立ち会えたことで、新しい発見や体験ができ、自身の大きな経験となった。
思えば、この動画制作の企画は、私だけでなく県劇にとっても新しい経験だったのかもしれない。
県劇40歳。たくさんの人が集い、その一人ひとりと共にどれだけの経験を積み重ねてきたのだろう。素晴らしい音が沁み込んだ壁、期待や緊張が踏みしめられた床、感動や歓声の余韻が漂う空間を持つ県劇は、私の目にはとても大きな存在として映る。文化芸術に縁のなかった私が、たまにではあるが公演を観に行ったり、車にクラシックやジャズが流れるようになった。大きな同級生から少なからず影響を受けているようだ。毎日のように顔を合わせるようになったこの同級生と、この先も影響を与え合い、共に進んでいきたい。
総務グループ
永野 祐広[ながの ゆうひろ]