2021.03.20
まなびの風景「熊本県立鹿本農業高校郷土芸能伝承部」
歴史が深く 全国にも知られる 山鹿灯籠踊り
「よへほ~、よへほ~」の語りかけとともに、金灯籠を頭に掲げた女性が舞い踊る「山鹿灯籠踊り」。毎年8月に開催される「山鹿灯籠まつり」のクライマックスを飾る「千人灯籠踊り」は幻想的で、九州でも屈指の夏祭りとして知られています。この山鹿灯籠踊りの女性の頭にある灯籠。その起源をたどると、第12代景行天皇の巡幸を松明を掲げてお迎えしたことが由来。その松明が室町時代に紙製の金灯籠に姿を変えたことから、糊と手漉きの和紙だけでつくられる伝統工芸品の山鹿灯籠が伝わったといわれています。
熊本県立鹿本農業高校の郷土芸能伝承部は、山鹿灯籠踊りを活動の中心とし、日々の練習を行っています。昭和63年(1988)に全国高等学校総合文化祭(以下「総文祭」)が熊本県で開催されたことをきっかけに創部。当初は踊りだけの部活動でしたが、創部から5年後には地方(じかた・太鼓や三味線の楽器)や唄の養成をはじめるようになりました。顧問である中川留美子先生自身も、鹿本農業高校の出身で、この郷土芸能伝承部に所属していたという経歴をお持ちです。
全力を尽くして 舞台に立って 総文祭に挑む
郷土芸能伝承部は、イベントや大会、地域の祭りなど年間で約30回の舞台に立っています。2年生の宮下さん、冨吉さん、日野さんは、入部のきっかけについて「勧誘のチラシ」と声を揃えます。このチラシは、毎年顧問の中川先生が作成しているとか。2020年はコロナ禍で新入生への部活動勧誘が禁止され、名物の勧誘チラシは作成されなかったものの、1年生2名が入部。3年生が卒業した現在、総勢6名の部員で活動を行っています。「今年度はイベントやまつり、遠征にも行けず、1年生にはその経験をさせてあげられなかったのが悔しい」と語る中川先生。総文祭にはweb参加となり、2020年の総文祭熊本県大会では、舞台に立てたものの、無観客での審査になったといいます。「夏の全国大会は観客の前で披露したい」と語るのは、2年生の地方担当井くん。「大きな舞台が初めてだから楽しみ」と1年生の大須賀くんと高橋さん。舞台に立てなかった2020年があったからこそ、舞台に立つ時、全力を尽くすことを部員全員で再確認したといいます。
(平日は2時間、土曜は4時間の練習を行っているという「郷土芸能伝承部」。いつでも観客の前で山鹿灯籠踊りを披露できるように、練習は怠らない。)