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2024.03.20

本の中にある劇場「悲しみの秘義」

熊本県立図書館と県立劇場のタイアップ企画として、2007年度から県立劇場の文化事業に関連する図書を「○○を楽しむブックリスト」としてご紹介しています。作曲家や演奏家のこと、楽器にまつわる話や演劇の原作本。さらにはスポーツ、科学に関する本も!そして、このコーナーでは、県立図書館職員のおススメの一冊をご紹介します。ここでご紹介したおススメ本もブックリストの本も熊本県立図書館で読むことができますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

悲しみの秘義

若松 英輔 著
文藝春秋(文春文庫)2019年12月
(単行本2015年11月 ナナロク社刊)

日々の生活で、災害に遭遇した時、誰かを喪った時、そして時には大した理由もなく、深い悲しみがこみ上げてくることがあります。そんな時に深い悲しみの中にある誰か(もしくは自分に)一体どんな本を手渡したら良いのだろう?と思いを巡らせた時、ふと数年前からいわゆる“積読(つんどく)”になっていた、この本を開いてみようという気持ちになりました。この本は、名著の言葉を、著作者自らがもがき、見つめながら綴ったエッセイをまとめた一冊です。本を読むこと、音楽を聴くこと、劇場に足を運ぶことは、この上なく楽しい。元気をもらうために、本を読む、音楽を聴く、という人も多いのではないでしょうか。ただ、そんな「楽しい」とは様子を異にする「癒し」の機能があることを私たちは失念してしまいがちです。深い悲しみに直面してはじめて感じられる、ある種凄みをもった言葉や音の力があります。本や音楽は孤独にそっと寄り添ってくれます。「楽しい」だけでは、どうにもならない気持ちを抱えてしまった時、思い出してください、悲しみに寄り添う言葉、音楽があることを。

熊本県立図書館 情報支援課 主任主事
下田 美超[しもだ みき]

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