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2022.12.15

舞台さんのお仕事道具「なぐり」

なぐり

いつも県劇舞台スタッフが書いている「舞台さんのお仕事道具」ですが、今回は熊本の舞台美術・大道具製作会社である吉本美術の吉本貴一さんにお話を伺いました。舞台美術と言えばこれでしょうと自信を持ってご紹介いただきました。

写真左が現場用なぐり、右が作り物用なぐり

一般に「金槌」と呼ばれる釘を打つ大工道具を、舞台現場では「なぐり」「芝居なぐり」と呼びます。一般の金槌よりも柄が長いのが特徴で、頭部分は、釘を打つために使い、もう一方は釘を抜くために使います。釘打ちのコツは、力で叩きつけるのではなくて、肘から先で振り下ろして先の金具の重さで釘を叩き込むこと。吉本さんは真っ直ぐな柄の下側をわざと切り落として角度をつけていました。木と木の間、釘を刺した所に柄を差し込んで捏ねることで、木を剥がせるように加工したものです。そのように道具は使い手各々が自分が使いやすいようにと工夫して独自に加工してカスタマイズするものです。見た目通りのシンプルな構造ですが、パーツを変えたら部分的に修理でき愛用の道具を長く使い継ぐことも出来ます。長年使い込むほどに自分の手に馴染んだものになっていくし、そういうものの使い心地が最も良い、と話してくれました。

最近は、効率化、時短のためにビスと電動ドライバーを使う機会も増えてきましたが、もの作りの基本は釘となぐり。舞台美術の基本は、昔ながらの釘となぐりで芝居を作っていくこと。吉本さんには道具を大事にすることも教えていただきました。

※「なぐり」という言葉の語源は、釘を「殴る」からではなく、松の枝をおろしたものから葉をとったもののことを「なぐり」と言っていたことに由来するそう。柄の材料として、堅い松の木を使っていたのでしょう。

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