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2022.12.15

まなびの風景「横島潟担い(がたいない)節保存会」

土地の記憶を
次の世代へ
節と踊りでつなぐ

小学生、中学生の子どもたちは、月に2回の練習会を楽しみにしている。子どもたちには、男役が人気

有明海の潮の満ち引きでできる干潟に目をつけた加藤清正が手がけた石塘築堤工事をきっかけに、約400年前からはじまった玉名市横島町の干拓事業。いちごやトマトなど、豊かな農作物に恵まれるこの土地は、長い期間をかけて完成した干拓工事によってできています。土木機械が導入される昭和初期までは、潟(土)を切りだし、天秤篭で重い潟を運ぶ作業を人力で行っていました。

この時に作業中にかけ声のように歌われていた、いわゆる労働歌に、1967年の5月末に潮止め工事が完成したことをきっかけに、曲と踊りが付けられたのが「横島潟担い(がたいない)節」です。工事の完成を祝う祝賀会で、当時の婦人会によって踊りが披露されました。昭和の終わり頃には、一時途絶えたこともあったものの、1995年に県立劇場の「いま、菊池川は流れる」の事業で菊池川流域の文化掘り起こしが行われ、横島潟担い節が復活した背景があります。

世代を超えて
いっしょに
楽しめること

踊りは潟を切りだす男役と、潟を篭で運ぶ女役の二人一組で、お囃子に合わせて潟担いの作業が繰り広げられます。海水を含んだ重い潟を切り出す動き、潟を運ぶ時の特徴的な足取り、高く積み上げられた堤防を梯子で登る様子が踊りの中に込められ、当時の作業の様子が目に浮かぶようです。

横島潟担い節保存会の窓口である木村總子さん

この「横島潟担い節」を後世に残すために活動する保存会は、子どもと大人合わせて15名。月に2回、横島町の公民館で練習を行い、地域のイベントがあれば参加し、潟担い節を披露しています。小学生の頃から練習に通っている中学3年生の鎌田朱音さんは、おばあちゃんから誘われたことから参加。「最初は難しかったけど、練習するうちに楽しくなってきた。できれば、これからも続けていきたい」と語ってくれました。潟担い節は、厳しい環境の中働く人たちが励まし合ってできたもの。今後もこの文化を残すために、活動に参加してくれる人を広く募集しています。

【横島潟担い節保存会】090-9070-8796(木村)/090-5797-5984(関)/090-8298-3099(大崎)

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