2021.09.20
利用団体紹介「熊本箏演奏者協会」
どこからか、 箏の音色が響いてくる町づくりにもつなげていきたい
熊本箏演奏者協会は、1987 (昭和8)年、熊本県内の箏指導者が流派を問わず集まって設立された団体です。現在は、県内の23名の先生によって構成され、お弟子さんを含めて200名以上が演奏会に参加しています。
設立の背景には、その数年前に熊本県立劇場が完成し、各教室ではなかなか実現できない大きな会場での演奏会を開きたい、という思いがあったからといいます。設立初年度から協会主催で「箏曲の祭典」を県立劇場にて毎年秋に開催。2019(令和元)年には32回を迎えたものの、 翌年からは新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2年間休止しています。演奏会がないのは、協会設立以来はじめてのこと。箏曲の祭典は100名近い演奏者の大合奏の演目があるなど、幅広い年代の演者が参加するもの。「それぞれのお教室でのお稽古はできますが、この状況下では皆さんが集まっての合同練習が難しく、開催を断念せざるを得ませんでした」と、熊本箏演奏者協会の代表である二宮晶代さん。演奏者にとってこのコロナ禍は試練ですが、一方ではしっかりと実力を蓄える期間としても捉えているといいます。
熊本箏演奏者協会のもうひとつの大きな取り組みが、隔年で開催している「全国邦楽ジュニアコンクール」です。箏、尺八、三絃の中学生以下の演奏者を対象に、全国から20名前後のエントリーがある邦楽のコンクールで、 邦楽の演奏者育成を目的にしています。会場の準備から、資金集め、プログラム作成、審査員の段取りなど、すべて協会で担当するため、かなりの労力であるものの「後進育成のために、なんとか続けていきたい」と、11回目となる今年は無観客で開催されました。今後の活動について、「大きな会場での演奏会だけでなく、町のどこからか箏の音色が響くような、町づくりにつながることにもチャレンジしていきたい」と、二宮さんは締めくくりました。
(2019年に開催された「箏曲の祭典」。100名近くの大合奏は圧巻。)
二宮 晶代(にのみや まさよ)
熊本箏演奏者協会 代表