熊本県立図書館タイアップ企画
本の中にある劇場

熊本県立図書館と県立劇場のタイアップ企画として、2007(平成19)年度から県立劇場の文化事業に関連する図書を「○○を楽しむブックリスト」としてご紹介しています。作曲家や演奏家のこと、楽器にまつわる話や演劇の原作本。さらにはスポーツ、科学に関する本も!そして、今回スタートするほわいえ新企画「本の中にある劇場」では、県立図書館職員おススメの一冊をご紹介します。ここでご紹介したおススメ本もブックリストの本も熊本県立図書館で読むことができますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

「トリックといかさま図鑑」

著：マシュー・L・トンプキンス
訳：定本大介
出版：日経ナショナルジオグラフィック社　日経BPマーケティング（発売）

中学生のとき、私は超能力者に憧れていました。人の心を読み、瞬間移動をし、スプーンを曲げる。私はほとんどできませんでしたが、マジシャンは舞台上でそういった不可思議を起こし、私は心を躍らせたものです。

この本を読むと、超能力者とマジシャンは、人を騙すということについて、お互いに相容れなかったことが分かります。霊能者と名乗る人々が不可思議な現象を見世物にした時代を経て、舞台芸術家としてのマジシャンが生まれます。それから、マジシャン達は自らの地位向上のために、嘘の霊能力をトリックを用いて看破します。それに対抗する霊能力を信じる科学者たち。この本は、騙し騙される歴史について、実際の写真資料を用い、自称、霊能力者・超能力者と、マジシャンというエンターテイナーたちの戦いの歴史を追う一冊です。 

騙されることは幸せなのか。騙し騙されるとは何なのか。舞台で繰り広げられているのはウソかホントか。見極めるのはあなた次第です。

小畑　祐介（おばた　ゆうすけ）
熊本県立図書館　情報支援課　指導主事