2021.06.20
舞台さんのお仕事道具「照明器具(ライト)」
お客様からは見えないように配置されていますが、舞台には至る所に色々な種類の照明器具が設置してあります。
照明器具は、レンズが組み込まれたスポットライトとレンズがないフラッドライトの大き く二つの種類に分けられます。
①スポットライトは、レンズの集光効果により必要な範囲を限定的に照らすことができます。レンズと光源の位置を調節して照射範囲を調整します。
②フラッドライトは、光源からムラなく均等な光が出せるため、舞台や背景幕を広範囲に均一に照らすことができます。そのため、あらかじめ設定された位置にセットするのみとなります。
左)スポットライト 右)フラッドライト
現在の照明器具にはフォーカスや機材の向き、角度に目盛りがあり、それを参考に器具をセットすることで大体の照射位置にセットできます。しかし 、昔の照明器具にはそんな便利 な機能はなく、職人的な感覚と経験での作業になります。ここが照明さんの腕の見せ所です。
〝この場面のフォーカス棒の引き具合はこの指の第2関節まで〞
〝明かりの範囲を舞台床の板目3枚分(約45㎝)にして、舞台上部に吊り上げた時の広がり具合を 1 間(約1.8m)にする〞など。
自分の体や舞台上のあらゆる部分を目印にし、明かりを調整していきます。
また、舞台上部にある照明器具(サスペンションライト)は、舞台下部で作業してから舞台上部に吊り上げます。その時に狙ったところにキレイに光を当てることができた時は嬉しいものですが、なかなか一発で合わないのが実情です。そのため、照明器具を何度も昇降させるので時間がかかります。他のセクションに迷惑をかけないように作業しますが、こだわるあまり、「リハーサル、押します。照明さん待ちです」となることもしばしば…。今日も照明さんは舞台に最高の光を当てるために、舞台の〝陰〞で戦っています。