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2025.03.20

本の中にある劇場「絵のない絵本 愛蔵版」 ハンス・クリスチャン・アンデルセン

熊本県立図書館タイアップ企画『本の中にある劇場』

県立図書館とのタイアップは 2007年度から続いています。このコーナーでは、図書館職員おススメの一冊をご紹介します。

絵のない絵本 愛蔵版

孤独な若い絵描きのもとに月が訪ねて来ては、毎夜異なるおとぎ話を語ります。物語の舞台は、ガンジス川のほとりであったり、パリのルーヴル宮であったり、田舎町であったり。登場する人物も老若男女と様々です。月が語るこれらのおとぎ話は、すべて月が前の晩に空から見た、世界で起きたあらゆる出来事でした。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 大畑末吉/訳 松村真依子/絵      岩波書店

ここで描かれる物語の多くは、作者であるアンデルセンが世界を旅する中での体験と印象がもとになっているといいます。どこか無力ささえ感じられる月の語りで語られる世界での物語。月が見てきたこれらの物語は、もしかしたら今もどこかで起きていることなのかもしれません。その舞台となった地域の、文化や歴史などの知識がなくでも、その風景を思うことはできます。しかし、劇場で行われる演奏会や演劇などの公演と同じく、背景や歴史、文化を知った上で読むと、別の視点や気付きが得られるかもしれません。

 

熊本県立図書館 情報支援課 主事
山下 梢[やました こずえ]

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