2024.12.20
【寄稿】太鼓芸能集団 鼓童 前田 順康

「ひこばえ」公演を終えて
築かれてきた文脈から学び、再解釈し、いまできること、すべきことを想像する。そういう態度が、残すこと、繋ぐことだと考えています。
単に宇土の大太鼓を舞台上に持ってくるということではなく、受け継がれているお囃子を演奏するのでもなく、そこに守られてきた目に見えない雰囲気や、心を、形を変えて舞台上に表出させることが、今回の作品のミッションだと捉えて創作をしました。
ここから先の文脈を構築するのは自分たちで、この瞬間がその起点であるということを、みんなで実感することに繋がればという思いでした。
また、この舞台がなければ出会わなかった太鼓の新しい可能性を、みんなと発見するのにぴったりな機会だったと振り返っています。団体を超え、年代も様々、それぞれが強烈な個人として集まり、まっさらなところから形を、色を探りました。普段は別々のグループで活動をしている間柄ですが、新しい楽曲にいろいろな角度からのアプローチを持ち込み、創り上げる時間を過ごしました。
あの日の場と時間が、ご来場のみなさん、参加してくれたみんな、そして、自分自身のこれからの日々の色彩を変えることになれば、それが芸術の、劇場の意味だと考えます。
第66回熊本県芸術文化祭オープニングステージ 演出
太鼓芸能集団 鼓童
前田 順康〔まえだ まさやす〕