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2024.09.20

本の中にある劇場「肌理と写真」石内 都

熊本県立図書館タイアップ企画『本の中にある劇場』

県立図書館とのタイアップは 2007年度から続いています。このコーナーでは、図書館職員おススメの一冊をご紹介します。

肌理と写真

「ことば」があるから通じるものと、「ことば」がなくても通じるもの。
そのどちらも大切に扱う空間という共通点が、劇場と図書館にはあるように感じています。「ことば」ありきだと思われがちな図書館にも、写真や絵など「ことば」がなくてもさまざまなことが伝わってくる資料がたくさんあります。

今回紹介する、写真家 石内都さんの初期からの写真を「肌理(きめ)」というテーマで再構成した写真集もそんな1冊です。
「肌理」と聞くと、肌理の整った赤ちゃんの肌を想像してしまいがちですが、石内さんの捉え肌理はもっとざらついて粒立ったものです。ひび割れてボロボロになった壁。身体に刻まれたシワや傷。86日原爆雲の下に生きていた人々の遺品についたシミ。一般的に美しいものとして扱われない被写体が多いのにも関わらず、石内さんが切り取った世界に写るのは圧倒的の美しさ。
今を懸命に生き抜いているあなたに、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。

著/石内 都、出版社/求龍堂

熊本県立図書館 情報支援課 主任主事
青木 道子 [あおき みちこ]

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