2022.09.15
寄稿「明後日朝顔プロジェクト『朝顔棚』の制作」
熊本県立劇場が開館40周年を迎える今回のお題は「朝顔棚」でした。
これまでも舞台装置や衣装のデザインなど数多くのプロジェクトに参加させて頂き、毎回新鮮味の強い内容に学生共々試行錯誤を繰り返してきましたが、そこには演者や劇場スタッフの皆さんが最後は支えてくれるという信頼関係があったように思います。しかし今回の主役は朝顔。記憶には小学生時代に育てた鉢植えがあるだけで、前川國男氏の建築の正面玄関にふさわしい景色を作るという構想は、いつもの心地よいプレッシャーの域を超えていました。最後の最後まで朝顔が4mも蔓を伸ばすなど信じられず、伸びなくても良いデザイン、存在感の淡い構造を棚に求め、学生へのダメ出しも強めに振れました。
7月、心配は杞憂となり、全ての蔓が4mを優に超え見事に花を咲かせました。植物相手で確実性に乏しいと気負っていた私は、「立派な朝顔に育てるぞ」という劇場スタッフの皆さんの意気を計算に入れていなかったようです。生の舞台芸術を支えている彼らの経験値の高さは40年積み重ねてきた伝統に裏打ちされているのでしょう。最後はやはり支えてくれました。さて、次のお題は何が来るのやら。楽しみでなりません。
千田 浩一
学校法人 未来創造学園
熊本デザイン専門学校 教務部長