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2022.04.15

本の中にある劇場「肥後にわか 笑いの来た道」

熊本県立図書館と県立劇場のタイアップ企画として、2007(平成9)年度から県立劇場の文化事業に関連する図書を「〇〇を楽しむブックリスト」としてご紹介しています。作曲家や演奏家のこと、楽器にまつわる話や演劇の原作本。さらにはスポーツ、科学に関する本も!そして、このコーナーでは、県立図書館職員おすすめの一冊をご紹介します。ここでご紹介したおすすめ本もブックリストの本も熊本県立図書館で読むことができますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

「肥後にわか 笑いの来た道」

一昔前、私は学園祭でコントを作って披露していました。そこで感じた恐ろしさや興奮は何事にも代え難いものです。
熊本での舞台の笑いといえば、肥後にわかは外せません。「肥後にわか」とは元は祭りの余興などで披露されていた喜劇。知らない方も、肥後にわかが生んだ大スター、ばってん荒川さんのことはご存知ではないでしょうか?一見素人芸のようにも見えますが、実際は当意即妙の紛れもないプロの技。今でも笑顔で思い出されます。この本は、そういった肥後にわかの過去から現在を、丁寧な取材をもとに人物、出来事からまとめています。印象的だったのは、その思い出を語る七〇代ご婦人の言葉。

「筋はいっちょん覚えとらんバッテン、おもしろかことば言いよったことはよう覚えとる。」

これこそが肥後にわかのパワーと言えるでしょう!なんだか閉塞感を感じる現在、舞台からあるれ出る「笑い」に対する情熱と歴史をこの本で感じたいものですね。

小畑 祐介[おばた ゆうすけ]
熊本県立図書館 情報支援課 指導主事


著/松尾 正一
出版/熊本日日新聞社

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