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2026.03.20
【特集】ホワイエサロンシリーズVol.13ホワイエ薪能

Special feature
ホワイエサロンシリーズ vol.13
ホワイエ薪能
2026年2月7日(土)熊本県立劇場 コンサートホールホワイエ
〈演目〉狂言/樋の酒(ひのさけ)、能/船弁慶(ふなべんけい)
〈出演〉狩野了一(シテ方喜多流)、野村万禄(狂言方和泉流)ほか

夕闇に浮かび上がる篝火が、
非日常の空間に誘う「ホワイエ薪能」

凍てつく空気を纏った立春をすぎた2月7日、熊本県立劇場コンサートホールのホワイエにて「ホワイエ薪能」を開催しました。階段上の窓際に能舞台を設え、ガラス窓の外に篝火を焚き、ゆらゆらと燃える炎とホワイエ内で繰り広げられる舞いと演奏が一体となり、なんともいえぬ幽玄な空間が創り出されました。県立劇場だからこそ実現できた特別な公演に、約220人の観客が魅了されました。
日常的な動作や会話で人間のおかしみを描き出す「狂言」と、能面をつけた舞いと音楽を巧みに織り交ぜ、物語を叙情的に描く「能」は、兄弟のように発展してきた日本の伝統芸能です。公演に際して観客にその背景と、今回の見どころをわかりやすく伝える解説が行われました。その間に窓の外に設置された篝篭(かがりかご)に黒子が火をくべ、これから待ち受ける世界への期待感が増していきました。


最初の演目は、狂言「樋の酒」。物語は、主人(あるじ)に留守を仰せつかった太郎冠者が、酒蔵の番をする次郎冠者に酒を求めるやり取りを軸に展開されます。人間の欲望を軽妙なタッチで描く代表的な狂言で、観客の心を柔らかくほぐしました。能「船弁慶(ふなべんけい)」は、平家と源氏の争いを背景にした武士の悲哀と、霊と人間の交錯する世界が描かれます。義経や弁慶、静御前が登場する人気の高い能で、荒れ狂う海を表す激しい囃子方の演奏のなか、長刀を振るいながら荒々しく舞う後シテ·知盛の姿は圧巻。普段のホール公演とは異なり、内と外、舞台と観客を隔てるものが溶け、ひとつの風景となり、多くの人にとって忘れがたい公演となりました。

また、関連企画として翌日に能楽ワークショップを開催。喜多流能楽師の狩野了一氏を講師に迎え、能面や装束に触れながら、能「船弁慶」をより深く理解するためのレクチャーと体験が行われました。15人の参加者が集まり、能の台本を使用した「謡」や「仕舞」の体験や小鼓のお稽古など、伝統芸能を身近に感じるひとときを過ごしました。




