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2025.09.20

本の中にある劇場「少女たちの戦争」編/中央公論新社 出版社/中央公論新社

熊本県立図書館タイアップ企画『本の中にある劇場』

県立図書館とのタイアップは2007年度から続いています。このコーナーでは、図書館職員おススメの一冊をご紹介します。

少女たちの戦争

戦後80年の今年、「戦争」や「平和」について考える機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
戦争体験というと、悲惨で特別なものと感じられがちですが、その背後にはさまざまな日常がありました。
この本に書かれているのは、石牟礼道子さんたちが少女だった頃の、日常の延長にある「戦争」であり、戦争が生活の中に深く入りこんでいたことに気づかされます。
彼女たちの日常の中からは、体験者にしか紡げない強い言葉が生まれ、その言葉に触れると、当時の風景が生々しく浮かび上がります。
「繰り返し執拗に襲う飛行機は巨大な鳥に見えた」と語る向田邦子さんや、「八月六日の朝、世界が瞬時に漂白されるような光に打たれた」と語る大庭みな子たちの記憶は、今もなお私たちの心に強く訴えかけてきます。
記憶の継承者が年々少なくなる中で、私たちは次の世代へどう伝えていけるのか。
舞台芸術と本が持つ”記憶を未来へつなぐ力”を信じ、劇場や図書館がその架け橋となり続けることを願っています。

編/中央公論新社 出版社/中央公論新社

熊本県立図書館 情報支援課 主任主事
青木 道子[あおき みちこ]

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