2025.03.20
【寄稿】ピアニスト 塩津 貴子

新たに県劇が迎えたスタインウェイピアノに寄せて
県立劇場のピアノは、私にとって今も昔も変わらず特別な存在です。
今回、新しいスタインウェイピアノを金子三勇士さんが選定されました。私もご縁あって弾き込みをさせて頂きましたが、嬉しさ反面、責任を感じました。何故なら自分がこのピアノの持つ可能性をどれだけ引き出せるのか、という葛藤があるからです。しかし、1度の弾き込みではなく、何人もの方々が数か月に渡り弾き込んで、このピアノを育てていくことを知り、まるで子育てのようだ、とも思いました。
ピアノ1台が舞台に上がるまで。職人さんが何年もかけて魂を込めて作り、劇場に新しいピアノを入れるために尽力、選定されます。到着後、大切に管理、弾き込み、調律を経てコンサートへ。それを聴いてくださるお客様がいて。背景には壮大な物語が広がっています。
今後、様々な機会で使用され、どのような音色へと成長していくのか楽しみですし、このピアノに関わった沢山の方々の思い、魂がその音色に乗って受け継がれ、お客様の日常生活に豊かな彩りを与えてくれることを願っています。
スタインウェイ社製ピアノ「625203」の弾き込みにご協力いただいたお一人
ピアニスト
塩津 貴子〔しおつ たかこ〕