2020.09.20
まなびの風景「山都町立清和小学校~生涯学習 清和文楽~」
農村の娯楽として江戸末期から伝承される人形浄瑠璃「清和文楽」
江戸時代末期に淡路の人形芝居の一座から清和村(現在の山都町)の村人が技術を習ったことが、人形浄瑠璃「清和文楽」のはじまりといわれています。一座を構成したのは農家の人々で、農閑期の〝娯楽〟として地域にある舞台などで上演していました。各地の行事に招かれることもあり、清和文楽は農村芸能として集落で伝承されてきました。今日に至るまで、幾度か衰退の危機を迎えたものの、昭和54年(1979年)に熊本県の重要無形文化財に指定されたことをきっかけに再生の動きが高まり、平成4年(1992年)に九州唯一の人形浄瑠璃専用の劇場「清和文楽館」が完成しました。
人形浄瑠璃は、情景描写や登場人物の喜怒哀楽を語る「太夫」と、太夫の横で演奏する「三味線」、そして3人で一体の人形を操る「人形遣い」で構成されます。淡路の人形浄瑠璃と同様に、身振りが大きいことが特徴。人形の首(かしら)は、各地から買い求めたもので年代や作者によってサイズがバラバラです。中には明治中期の著名な人形師「天狗久」の重要文化財級の作もあります。
小さい頃から慣れ親しんできた農村芸能を〝楽しむ〟
清和小学校の小学4年生から6年生に向けた生涯学習の一環で、「清和文楽」の指導が清和文楽館で行われています。保存会のメンバーや文楽館の職員が指導者となり、「太夫」、「三味線」、そして「人形遣い」にわかれて練習します。
地元の子どもたちにとっては、文楽館は保育園の遠足などで小さい頃から親しみのある場所であり、清和文楽は学校の総合学習でも取り組んでいるほど身近な存在。取材した日の練習は、太夫と三味線はオリジナル演目「雪おんな」、人形遣いは足遣いの特訓でした。保存会の会長である片山勇次さんによると、足遣いはまわりの状況や感情などを表現するためにとても大事な要素だとか。
5年生から参加しているという6年生トリオ、堀くん、倉岡くん、藤島くんに話を聞くと、はじめたきっかけは上級生の発表を見て「おもしろそう!」と思ったことから。集大成となる6年生最後の発表会で「かっこよく演じる」ことが、3人に共通する目標です。
(左から6年生の堀光瑛くん、倉岡圭くん、藤島隆之介くん。集大成となる発表会に向けてがんばっている)