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2022.04.15

特集「開館40周年館長あいさつ」

劇場が日常に地続きでつながり、一人ひとりのドラマにつながる

1982(昭和57)年の開館から40年。コンサートホール、演劇ホール、それぞれのホールの中では多くの感動が、ドラマが生まれてきました。この40年の歴史を振り返ることは、記録とともに、次代につなげていくステップでもあります。2016(平成28)年の熊本地震から、2020(令和2)年の人吉・球磨地域の豪雨災害、そして全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症など、さまざまな厳しい状況の中、劇場の存在価値、存在意義は何なのか。決してノスタルジーに浸るだけでなく、その先にどうつなげていくのかを、問うことでもあります。

私たちが40周年で掲げた「日常に、劇場を。」という言葉には、文化・芸術を提供する劇場が、みなさんの日常に地続きでつながってほしい、という願いを込めています。文化・芸術によって、世の中をすぐに変えることはできないかもしれません。しかし、人は舞台上のパフォーマンスに心をふるわせ、時に涙を流すこともあります。文化・芸術は定量化できないものの、人の心に訴え、内側からじわじわと変化させ、それが外側の世界を変えていく可能性を秘めています。余剰としてではなく、私たちの日常の中に組み込まれることで、さらに価値を生みだします。そのために、これからの劇場は、文化・芸術にふれられる機会を増やす工夫と努力を重ねていかねばなりません。時には、この場から飛び出して、〝動く劇場″として熊本県内の地域に赴いていくことも増えてくるでしょう。劇場が県民の共有財産であることを胸に、県民の広場として、次の50年、60年に向けて、県民とともに歩み、進化し続けていきたいと思います。


熊本県立劇場 館長
姜 尚中[かんさんじゅん]

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