2022.04.15
特集「40周年の県立劇場へのメッセージ:森山開次」
県立劇場40年の歴史の中で、コンサートホール、演劇ホール、それぞれのホールの舞台上には数えきれない感動の場面が生まれました。その場面をつくりだしてきたアーティストの方々から40周年を迎えた県劇へ、あたたかいメッセージをいただきましたのでご紹介します。
熊本県立劇場開館40周年おめでとうございます。
私が初めて下見とワークショップで劇場を訪れた際は、まだなお震災の傷跡が残っていました。壁の亀裂、敷き詰められたシート。闇と埃を被った昇降バトン。煌びやかな劇場とはかけ離れた様相を案内してくださったスタッフの方の復興を誓う姿は忘れません。
そして私の演出した、2018年『不思議の国のアリス』と2019年のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の全国ツアーの大千穐楽が、いずれもこの復興中の熊本県立劇場だったこともあり、とりわけ愛着を抱いています。苦楽の旅の末にたどり着いた熊本は、共に旅したスタッフ、共演者と涙を流し、再会を誓った場所でもありました。また熊本県立劇場で踊る日を心から楽しみにしています。
ⒸSadato Ishizuka
森山 開次[もりやま かいじ]
舞踏家/振付家/演出家